父の思い。

僕の父親は威厳があって怖い。

子供の頃からよく怒られていたので今だに会うと 緊張してしまうし、ビビってしまう。笑

頑固で堅物な父親である。

僕が19歳の頃 父親が交通事故にあった

当時東京で一人暮らしをしていた僕の所に連絡が来たのは夜中だった
始発の電車に飛び乗って父親が運びこまれた病院まで急いで向かったのを今でも覚えている。

その頃の僕と父親は離れている事と、僕が若いのであまり口を聞く事もなく顔をあわせる事もなかった

仕送りしてもらっているにも関わらずあまり実家に帰る事もしなく、もちろん連絡なんてほとんどしないでいた。

僕はどこにでもいる自由を手に入れたと思い込んでいるバカ息子だった。

そんな僕が久々に顔を合わせたのは普段の姿ではなく 病院のベットの上で怪我をしていて目をつむっている父親だった。

父親は寝ていた

前の日の夕方に運ばれてきて朝方まで手術をしていたみたいだ。

看護師さんに僕は言われた

お父さんは麻酔が全然効かなかったと
骨盤を複雑骨折してしまい 大腿骨が出てしまっていた。
それを元に戻すのに麻酔をして、大腿骨を骨盤に入れなければいけなかった

3回試したがなかなか骨盤に入らなかった

お父さん先生に言ってましたよ

「先生 俺んちは下の息子がまだ学生をしていて 仕送りをしないといけない

だから1日でも早く治して仕事しないといけないから

痛くてもいいから手術をしてくれと…」

僕は、トイレで大泣きをした

苦手な父親が自分の事をどれだけ思ってくれているかと

自分がどれだけ未熟者なのだと…

僕は自分が情けなかった

あれから25年が経つ

そんな父親が先日 手術入院をする事になった

僕の母は身体の調子が悪く 入院の日も手術の付き添いもできないので

僕が代わりをしていた。

担当の先生から手術の説明を受けた時

父は先生に言っていた

「カミさんの調子が悪く家で待っている。 俺が飯を作ってあげないと食べる物がないから
早く退院させてくれ」

坦々と話す父親はあの時と同じ事を今度は母親のために言っていた。

父親は今回の手術は母親の為にもう少し元気で長生きしないといけないと思い

手術を決断したのだ…

僕の父親は無口で 短気で 怖い父親だ

そして、こんなに子供と妻を思ってくれる父親だ。

そんな父親を 僕は尊敬する

僕は今 ニコの父親になり、大事な奥さんがいる。

初めて父になり、夫になり自分の父親の思いを知った

なかなか顔を見て言えないけど

ありがとう

いつかお父さんみたいになります。

バカ息子より

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