我慢の先

今年になって2回目の緊急事態宣言があける

この歳になってこんなに何もしない休みを過ごす日が来るなんて思いもしなかった

僕は2ヶ月間 ほとんど料理をしなかった

自分なりに考えての事だ

仕事を離れてみたかったのだ 24歳から始めた料理

今は生活をする為と毎日をこなす事でルーティンになっている気がしてた

このままがいいのか、何かを変えなきゃいけないのか

考えてはいるけど まあ明日はまた来るからと毎日を過ごしていた 50歳近くになると変化を嫌い新しい事を始めるのに腰が重くなる

家族や周りの環境に守る物が多くなるからだと思う

はて… 本当にそれでいいのか?

自問自答を繰り返してた

こんな時期だからなおさら変化を嫌っていたのかもしれない、新しい事をしても誰が見て誰が味わって 誰が感じてくれるのかと…

30代にはない諦めが先に来る 遠回りはやめろと自分が言い出し 心の中の野心を消してしまう

情熱や野望とは遠いところに自分がいる事に気づいていた

だから余計に熱が冷めていってしまったのだ

2ヶ月 店にも 料理にも離れた

料理をしたくて仕方がないなんて そんな気持ちも湧くこともなく時間だけが過ぎっていった…

緊急事態宣言がまもなくあける頃

僕は久々に店に行った

自分の大好きな空間で大好きな物ばかりがあって 好きな仕事ができる場所だ

物は喋らないし動かないけど確かに感じた 店は僕を待っていた

くたびれたガス台に火を入れる、換気扇を回して水を流し食材を包丁で切る、フライパンに油を入れニンニク、トウガラシ…

オリーブオイルとニンニクのいい香りがしてきた

毎日やってきた1連の動作だ

頭より体は先に動いていた

気持ちが弾んでいる事に気がついた

忘れていたんだよな

これしかできないけど これなんだと

我慢の先に光があるかはわからない

でも、続けよう 

誰か1人でも待っていてくれるなら…

努力も勉強もしよう

いつもの店でお待ちしてます  +2988