ジグザグに。
子供の頃、チャリンコが自分の大事な最大の乗り物だった。
チャリンコさえあればどこにでも行けると思っていた。
いつの間にか、あんなに大事で大好きな乗り物に乗らなくなってしまった。
娘は最近、外に出て歩くのが楽しくて仕方がないらしい。
玄関にちょこっと座って初めて買ってもらったクマの顔の付いた靴を履こうとしている。
その姿が可愛くてしかたがない。
時々夜でも玄関に座っているときがあり、一回外に出て散歩をしないと気が済まないときもある。
まだ 寒い時期なので面倒なときもあるが、可愛い娘のためだと思い付きあってしまう。
歩けるという事の喜びと、初めて見る広がった世界に時々歓喜の雄叫びをあげている。
これまた可愛い。
自分にもこんな時代があったのかと疑ってしまうが、絶対誰にでもあったに違いない。
忘れてしまうのだな。
こんなに大事で大切な時を。
世界が広がり、大人になり ある程度のものが手に入りなんでもできるようになると
忘れてしまうのだな。
あの、素晴らしい時間や思いを。
娘を見ていて色々教えてもらっている。
忘れちゃいけないことや、思い出さないといけないことを。
まだ、よちよち歩きで何度も転ぶのにめげずに起きて楽しそうに歩いてる。
また、転ぶ。
めげずにまたの繰り返し。
ちょうど今の自分に娘がシンクロしてくる。
でも、僕は大人になってしまってるから起き上がるのに時間が掛かっている。
時間は掛かるけど起き上がらねば。
娘のように楽しもう…。
そういえば、チャリンコが最大の乗り物だったころ
よくジグザグに運転してた。
まっすぐ運転した方が速く進むのに。
道も知らない道をよく通ってみたな、遠回りなのに。
時間もあったからだけど。
こないだテレビで、タモさんが言ってたな
人生はジグザグに行くといいと。
そうかもだな。
あのころのようにジグザグ運転してみるかな。
人生を。
娘が普通に歩ける様になるのが淋しい…。
春が来るな。